2 56歳の男性。糖尿病と高血圧との既往がある。自室内で様子がおかしいことに家族が気づき、救急要請した。
救急隊到着時観察所見:意識JCS3。呼吸数36/分。脈拍88/分、不整。血圧120/68mmHg。体温37.2°C。SpO2値92%
この傷病者の緊急度が高いと判断される根拠はどれか。1つ選べ。
1 意識
2 呼吸数
3 脈拍
4 血圧
5 体温
解答 2
【AIによる回答】
第2問は、バイタルサインから「最も緊急性が高い異常(生命の危機)」を特定する、アセスメントの優先順位に関する問題です。
解説:異常値の緊急度評価
正解は2(呼吸数)です。
一見すると意識障害(JCS 3)も重要に見えますが、バイタルサインの数値として異常値の程度が最も深刻なのは呼吸数です。
2 呼吸数(36/分):
成人の正常な呼吸数は 12〜20/分 です。36/分という数値は、正常の約2倍に達する著しい頻呼吸です。
救急医学において、呼吸数 30/分以上は「一刻を争う重症(生理学的異常)」と定義されており、ショック、重症敗血症、代謝性アシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスなど)などの深刻な病態が背景にあることを示唆します。
「呼吸数の異常は、心停止の最大の予兆」と言われるほど、緊急度判定において最も重要な指標です。
他の選択肢の分析
1 意識(JCS 3):
JCS 3は「自分の名前や生年月日が言えない」程度の軽度な意識障害です。もちろん異常ではありますが、ただちに生命を維持できなくなるレベルではありません。
3 脈拍(88/分、不整):
回数は正常範囲内(60〜100/分)です。「不整」は心房細動などの不整脈が疑われますが、これだけで直ちに死に至る緊急度は呼吸数ほど高くありません。
4 血圧(120/68mmHg):
正常範囲内です。
5 体温(37.2°C):
微熱程度であり、緊急度の根拠にはなりません。
救急救命士としての臨床的視点:qSOFAと糖尿病
この傷病者の背景には、既往歴の「糖尿病」が深く関わっている可能性があります。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):
糖尿病が悪化すると体内の血液が酸性に傾き(アシドーシス)、それを補正するために脳が「二酸化炭素をたくさん吐き出せ」と命令を出します。その結果、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)が現れます。
qSOFA(クイック・ソファ):
敗血症(感染症による重症状態)を疑う指標として以下の3つがありますが、この傷病者は2つに該当しており、死亡率が高い非常に危険な状態です。
意識変容(JCS 1以上) → 該当
呼吸数 22/分以上 → 該当(36/分)
収縮期血圧 100mmHg以下
まとめ:
「バイタルサインの中で、呼吸数の劇的な異常(30回以上や10回以下)は、他のどんな指標よりも先に『ヤバい!』と判断すべきサイン」と覚えておきましょう。
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