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2026年1月4日日曜日

第48回C問題 第1問 近年救急現場でも非常に重要視されているDNAR(蘇生不要指示)と生命倫理の原則に関する問題

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1 92歳の男性。介護施設入所中。数日前から衰弱が進行し、本人と家族との希望で施設で看取る予定であった。本日朝、突然痙攣を起こしたため、あわてた職員が救急要請した。

 救急隊到着時観察所見:心肺停止状態で、職員により一次救命処置が行われている。心肺蘇生を続けたが、心電図では心静止が続いている。DNARの事前指示書がみつかったため、かかりつけ医に連絡したところ、「すぐに向かう」と回答を得たため、現場で待機した。

 この救急隊が現場で待機したことは「生命倫理に関する原則」のどれに該当するか。1つ選べ。

1 自律の尊重

2 善行の原則

3 公正の原則

4 正義の原則

5 無危害の原則


解答 1


【AIによる解説】


第1問(生命倫理)は、近年救急現場でも非常に重要視されているDNAR(蘇生不要指示)と生命倫理の原則に関する問題です。


解説:生命倫理の四原則

正解は1(自律の尊重)です。

生命倫理には、ビーチャムとチルドレスが提唱した「四原則」という世界的な指針があります。今回のケースがなぜ「自律の尊重」に当たるのかを解説します。

  • 1 自律の尊重(Respect for Autonomy):

    これは「患者本人の決定権を尊重する」という原則です。

    • 本事例では、本人と家族が「施設で看取る(積極的な延命を望まない)」という意思を持っており、その証拠としてDNARの事前指示書が存在していました。

    • 救急隊が、本人の意思(自律)を尊重し、指示書やかかりつけ医の指示に従って不必要な蘇生を中止・待機したことは、この原則を遵守した行動と言えます。


他の選択肢(生命倫理の四原則+α)の解説

  • 2 善行の原則(Beneficence):

    「患者に利益をもたらす」という原則です。医学的な治療を行い、健康を回復させることがこれに当たります。本事例では、蘇生を中止することが本人の「安らかな最期」という利益にかなう側面もありますが、選択肢としては1が最も直接的です。

  • 3・4 公正・正義の原則(Justice):

    「医療資源を公平に分配する」という原則です。人種や経済状況で差別せず、平等に治療を行うことを指します。

  • 5 無危害の原則(Non-maleficence):

    「患者に危害を加えない」という原則です。効果のない、あるいは苦痛を与えるだけの処置を避けることを意味します。


救急救命士としての臨床的視点:DNAR対応の現実

救急現場でのDNAR対応は非常にデリケートであり、以下のステップがガイドライン(救急蘇生法を巡る倫理的課題に関するガイドライン等)で推奨されています。

  1. 意思の確認:

    事前指示書だけでなく、その場の家族の意向も確認します。本事例のように「職員が慌てて呼んでしまった」というケースは多く、家族の総意がどこにあるかを瞬時に見極める必要があります。

  2. 医師との連携:

    救急隊の判断だけで蘇生を完全に中止することは法的なリスクを伴うため、必ずかかりつけ医や指導医にオンラインで連絡を取り、指示を仰ぐことが重要です。

  3. 看取りの支援:

    蘇生を行わない(あるいは中止する)と判断した後は、単に放置するのではなく、医師が到着するまで傷病者の尊厳を守り、家族の心のケアを行うことも救急隊の大切な役割です。

まとめ:

「患者本人の決めた生き方(死に方)を守る = 自律の尊重」と結びつけて覚えましょう。国家試験では「四原則」の内容を混同しないように整理しておくことが大切です。

第48回C問題 第2問 バイタルサインから「最も緊急性が高い異常(生命の危機)」を特定する、アセスメントの優先順位に関する問題

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2 56歳の男性。糖尿病と高血圧との既往がある。自室内で様子がおかしいことに家族が気づき、救急要請した。

 救急隊到着時観察所見:意識JCS3。呼吸数36/分。脈拍88/分、不整。血圧120/68mmHg。体温37.2°C。SpO2値92%

 この傷病者の緊急度が高いと判断される根拠はどれか。1つ選べ。

1 意識

2 呼吸数

3 脈拍

4 血圧

5 体温


解答 2


【AIによる回答】


第2問は、バイタルサインから「最も緊急性が高い異常(生命の危機)」を特定する、アセスメントの優先順位に関する問題です。


解説:異常値の緊急度評価

正解は2(呼吸数)です。

一見すると意識障害(JCS 3)も重要に見えますが、バイタルサインの数値として異常値の程度が最も深刻なのは呼吸数です。

  • 2 呼吸数(36/分):

    成人の正常な呼吸数は 12〜20/分 です。36/分という数値は、正常の約2倍に達する著しい頻呼吸です。

    • 救急医学において、呼吸数 30/分以上は「一刻を争う重症(生理学的異常)」と定義されており、ショック、重症敗血症、代謝性アシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスなど)などの深刻な病態が背景にあることを示唆します。

    • 「呼吸数の異常は、心停止の最大の予兆」と言われるほど、緊急度判定において最も重要な指標です。


他の選択肢の分析

  • 1 意識(JCS 3):

    JCS 3は「自分の名前や生年月日が言えない」程度の軽度な意識障害です。もちろん異常ではありますが、ただちに生命を維持できなくなるレベルではありません。

  • 3 脈拍(88/分、不整):

    回数は正常範囲内(60〜100/分)です。「不整」は心房細動などの不整脈が疑われますが、これだけで直ちに死に至る緊急度は呼吸数ほど高くありません。

  • 4 血圧(120/68mmHg):

    正常範囲内です。

  • 5 体温(37.2°C):

    微熱程度であり、緊急度の根拠にはなりません。


救急救命士としての臨床的視点:qSOFAと糖尿病

この傷病者の背景には、既往歴の「糖尿病」が深く関わっている可能性があります。

  1. 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):

    糖尿病が悪化すると体内の血液が酸性に傾き(アシドーシス)、それを補正するために脳が「二酸化炭素をたくさん吐き出せ」と命令を出します。その結果、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)が現れます。

  2. qSOFA(クイック・ソファ):

    敗血症(感染症による重症状態)を疑う指標として以下の3つがありますが、この傷病者は2つに該当しており、死亡率が高い非常に危険な状態です。

    • 意識変容(JCS 1以上) → 該当

    • 呼吸数 22/分以上 → 該当(36/分)

    • 収縮期血圧 100mmHg以下

まとめ:

「バイタルサインの中で、呼吸数の劇的な異常(30回以上や10回以下)は、他のどんな指標よりも先に『ヤバい!』と判断すべきサイン」と覚えておきましょう。

第49回D問題 第1問 自殺企図(薬物過量服薬)における傷病者の拒否的な「意思表示」に対し、救急隊が命を救うために強制力を伴う搬送・介入を行った根拠を、医療倫理・生命倫理の基本原則(ビーチャムとチルドレスの4原則など)に基づいて学術的に整理できるかを問う問題

1 22歳の女性。数年来、双極性障害で通院している。過剰服薬による救急搬送も複数回あり、現在は自宅療養中で両親と同居している。母親が部屋に行くと、呼名に反応がなく、「死なせてほしい」というメモと多数の薬の空シートがあったため、救急要請した。  救急隊到着時観察所見:意識JCS 1...