2026年1月12日月曜日

第47回D問題 第25問は、激しい嘔吐の後に消化管出血を来すマロリー・ワイス症候群(Mallory-Weiss syndrome)に関する問題です。

 第47回救急救命士国家試験D問題はこちら

25 20歳の男性。大量飲酒後、何度か嘔吐し、その後血を吐いたため自ら救急要請した。

 救急隊到着時観察所見:意識JCS3。呼吸数20/分。脈拍120/分、整。血圧80/60mmHg。既往歴はない。

 考えられる疾患について正しいのはどれか。1つ選べ。

1 浅い潰瘍を伴う。

2 食道胃接合部に好発する。

3 門脈圧の上昇が原因である。

4 胸腔内圧の上昇によって発症する。

5 海産魚介類の摂取によって発症する。


解答 2


解答:2 食道胃接合部に好発する。


各選択肢の解説

  • 選択肢 1:浅い潰瘍を伴う(誤り) マロリー・ワイス症候群の本態は、潰瘍ではなく**粘膜の下層にまで及ぶ「裂傷(裂け目)」**です。粘膜が浅く欠損する潰瘍とは病態が異なります。

  • 選択肢 2:食道胃接合部に好発する(正解) 嘔吐時の急激な腹圧上昇により、**食道胃接合部(噴門部)**付近の粘膜が機械的に引き裂かれて出血します。これが本疾患の最も特徴的な発生部位です。

  • 選択肢 3:門脈圧の上昇が原因である(誤り) 門脈圧亢進が原因で起こる吐血は「食道静脈瘤」です。本症例は既往歴がなく、飲酒後の「嘔吐」という機械的な刺激が誘因であるため、マロリー・ワイス症候群が強く疑われます。

  • 選択肢 4:胸腔内圧の上昇によって発症する(誤り) 発症の直接的な原因は、胸腔内圧ではなく**「腹腔内圧(腹圧)」**の急激な上昇です。嘔吐によって胃の内容物が逆流しようとする強い圧力が、固定された接合部付近に集中することで裂傷が生じます。

  • 選択肢 5:海産魚介類の摂取によって発症する(誤り) 海産魚介類(アニサキスなど)の摂取で起こるのは、激しい腹痛を伴う「胃アニサキス症」などです。吐血の原因としては一般的ではありません。


現場活動のポイント

本症例は血圧80/60mmHg、脈拍120/分とショック状態に陥っています。マロリー・ワイス症候群は自然止血することも多い疾患ですが、中には動脈性の出血により生命に危険が及ぶケースもあります。意識レベルも低下しているため、吸引の準備を整え、誤嚥に注意しながら迅速に搬送する必要があります。

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