81 自殺企図で搬送される傷病者への対応について適切なのはどれか。1つ選べ。
1 希望があれば1人にする。
2 話しを聞くより説得につとめる。
3 傷病者からの情報収集は避ける。
4 死にたいと思っているかを尋ねる。
5 リストカットは自殺への願望が弱いと判断する。
解答 4
【AIによる解説】
第81問は、自殺企図傷病者への精神医学的対応に関する問題です。現場でのコミュニケーションは、傷病者の安全確保と次の自傷行為を防ぐために極めて重要です。
解説:自殺企図者への適切な接し方
正解は4です。
自殺の危険がある傷病者に対し、「死にたいと思っているか(自殺念慮)」を直接尋ねることは、実は非常に適切で重要な対応です。
「死にたいか」と聞くと、かえって自殺を助長したり刺激したりするのではないかと心配されがちですが、実際には逆です。率直に尋ねることで、傷病者は「自分の苦しさを理解しようとしてくれている」と感じ、心の負担が軽減(カタルシス効果)したり、具体的な危険度を評価できたりすることに繋がります。
他の選択肢の分析(不適切な対応)
1 希望があれば1人にする:
絶対に避けるべきです。自殺企図直後の傷病者は衝動性が高く、目を離した隙に再び自傷行為(搬送中の車両からの飛び降り、車内の鋭利なものでの自傷など)に及ぶ危険があります。常に監視下におく必要があります。
2 話を聞くより説得につとめる:
「死んではいけない」「親が悲しむ」といった説得や道徳的な助言は、傷病者をさらに追い詰め、心を閉ざさせてしまう原因になります。まずは相手の感情を否定せず、「傾聴(話を聴く)」ことに徹する姿勢が求められます。
3 傷病者からの情報収集は避ける:
適切な医療に繋げるために、情報収集は不可欠です。「何を、いつ、どれくらい、どうしたのか」という事実に加え、本人の心理状況を把握することは、医療機関での治療方針決定に大きく寄与します。
4 リストカットは自殺への願望が弱いと判断する:
危険な誤解です。リストカットなどの自傷行為を繰り返す人は、次第にエスカレートしたり、不慮の事故で死に至ったりするリスクがあります。また、「死にたい」というサインであることに変わりはなく、その背景にある苦痛の強さを軽視してはいけません。
救急救命士としての臨床的視点
現場では、傷病者のプライバシーを保護しつつ、安全な環境(セーフティネット)を構築することが最優先です。
凶器の確認: 周囲に刃物、薬品、ロープなどが残っていないかを確認し、速やかに遠ざけます。
共感的な態度: 批判的な言動を慎み、「大変な思いをされましたね」といった共感の言葉を添えながら、傷病者が安心して話せる雰囲気を作ります。
連携: 精神疾患の既往や通院歴を確認し、かかりつけ医や精神科救急へのスムーズな引き継ぎを目指します。
このように、逃げずに「死」というテーマに向き合い、本人の言葉を引き出すことが、救命の第一歩となります。
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